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04パンフレットの業種別作成方法
04パンフレットの業種別作成方法
製造業
機能情報+プロダクトブランドを大切に
多種多様の分野がある中で、製造業と一括りにするのは無理はありますが、個別製品に深くフォーカスした「製品パンフレット」として言及します。
パンフレットのコンテンツは、自社で開発・販売する製品情報ですので、その製品名・製品写真・特徴・仕様諸元が主たるパンフレットコンテンツでしょう。しかしながら、他の項目でも言及していますが、これではファクトを並べただけで、プロダクトブランドやフィロソフィなどは存在しません。競合他社のパンフレットとは何ら変わりない、いやむしろ製品力は自社品が優れているのに、他社のパンフレットに負けている、などと言った不本意な評価をもらってしまっては本末転倒。自社を知らない新規見込み先で起こり得るリスクです。
このリスクやパラドックスを回避することを、製品パンフレットにも可能な限り担わせたいものです。ここでは詳細な言及はしませんが、一例として、想定導入提案、製品開発コンセプト・開発者談、ベンチマーク相対情報、コストパフォーマンス、エビデンス情報等の専門機能情報に加え、自社品の優位性や差別性の潜在価値を、可視化・言語化しプロダクトブランディングとして、パンフレット自体を包み込む、といったイメージです。
PR広告的パンフレットはNG
またコピー表現の在り方で、プロダクトブランド構築でNGなのがPR表現です。「この製品はパフォーマンスに優れている」「かつて無かったコストダウン」等の、単なる自社品をよく見せたい根拠のない抽象表現。これだけは絶対避けなければなりません。これはターゲットユーザーにとって何の解決にもならず、セールスパーソンとしてもその能力さえ疑われます。
総合カタログとの連携で相乗効果
言われると気付かれると思いますが、総合カタログで網羅的に紹介されている製品群の中から、1~2品の製品を抜き出して、詳細情報に深く言及させる製品パンフレットとの連携は、大変相乗効果を発揮します。総合カタログ掲載製品の全てをカバーするものではなく、中でも主力製品、売れ筋製品、新製品、展示会出展製品、キャンペーン製品等からピックアップして、パンフレットで深入りするというリレーションです。
このことからカタログの延長線上のパンフレットでは意味をなさない、ということがおわかりいただけると思います。ターゲットユーザーは購入検討候補、複数社合い見積となっている製品の情報は、いくらあっても、多すぎることはありません。ファクトやスペック情報だけではない、ユーザーに好感を醸成させ、そこに付加価値という無形の資産も兼ね備え持つパンフレットコンテンツであれば、そこに優位性を持てる可能性が高くなります。まさにこれがブランディング価値の高いパンフレットと言えます。
建設業
大手ゼネコンと中堅建設会社では、その事業分野や取引先の違いから、販路拡大や新規取引の推進を行うのは中堅建設会社が多いと言えます。自社の特殊工法や技術、機材設備や資材等、そのターゲットは大手ゼネコン、設計コンサルタント、デベロッパー、また官公庁含めた営業活動で、その営業シーンで活かす営業パンフレットです。この業界の傾向として、製造業のように分析・数値データやエビデンス情報をじっくり商談...というよりは、クイックな、場合によっては立ち話もあり得る中で、エキスの濃い要点を簡潔に説明できること。これが建設業に求められるパンフレットの傾向とも言えます。
しかしながら、それだけにプロフェッショナルな建設マン、設計技師、目利きデベロッパーに瞬時に興味を持たせるパンフレットの表現として、やはり抽象的PRパンフレットでは意味を成しません。今風に言えば相手を”秒殺できる”キャッチ―なコピー、競合とは異なる直感性の高いブランディングデザイン、これらもキッチリと反映させたパンフレットが求められます。
ICT情報システム
業界必須ツールPPTとパンフレットの役割
自社開発システム、パッケージシステム等、個別のシステム商品を営業ツールとする場合のパンフレット作成ポイントです。
この業界としてほぼ100%がBtoB取引を前提としており、企業の基幹システム、情報システム、ネットワーク構築、またそれらの保守・メンテナンスを請負う事業形態ですが、その取引のほとんどで提供側・ユーザー側もエンジニア、もしくはそれ相当のリテラシーあるシステム担当者、ということが言えると思います。
従って細かく情報を咀嚼することは比較的不要で、むしろエンジニア同士共通言語での表現が、迅速な理解と、そこから深入りできる道筋もつけやすいと言えます。
それだけに、この業界も製造業と似た傾向があり、パンフレットは機能情報・スペック情報が文字で網羅され、業界特有のDBチャート図...のようなシステム概念図があればいい、というご要望をいただくことがありますが、それでは業界必須ツールとも言えるPPT資料でいいのでは?と逆にお聞きしてしまうことがあります。
弊社へのパンフレット制作ご依頼は、ファクトや顕在情報のそれらでは語れない、システムブランディングや簡潔に言い表すコピー表現、イメージを膨らませるデザイン表現を求められるわけですので、オフィシャルなパンフレットでブランディングと信用性を高め、PPTで個別提案する、といったように、役割を明確にする必要があります。ほぼほとんどで競合コンペとなるでしょうから、そこでの差別的優位性を、僅かでもこのパンフレットにその役目を果たさせるべきです。
経営層・決裁権者に届く
またこの業界の特徴として、企業の根幹に入り込み、問題をソリューションする、といった経営レベルの取組みが多く、投資コストは高額になります。従って担当エンジニアレベルでは決済出来ないことが多く、ほとんどが社内稟申を余儀なくされます。ここで重要なのが、システム商品自体の商品力・実力はもちろんのことですが、この稟申に耐え、決裁権者のハンコをもらうところを想定することも視野に入れて置く必要があります。
やはりコストパフォーマンス。この導入でいくらコストダウンできる?どれほど省力化できる?が経営層の関心事。細かい情報はPPT資料になると思いますが、公式のパンフレットにも堂々と記載する、というのも一手でしょう。
それと欠かせないのが、この経営層というのは非常に保守的です。直感するブランドイメージで信頼できるか、信用あるのかを一方的に決めてしまいます。知名度ある企業であればまだしも、ブランディングの重要性を感じてください。
金融・不動産
ターゲットやチャネルで異なるパンフレット
金融・証券会社、不動産会社自体の企業パンフレットや会社案内以外で必要とされるパンフレット媒体です。
例えば個別の金融・保険商品、投信やファンド商品、不動産では売買・賃貸情報、開発・コンサルティング、投資ファンド等の、いわゆる個別案件のサービスパンフレットの作成ポイントです。販売や紹介するターゲット層によってそのコンテンツやデザインは大きく異なると思いますが、総じてBtoC商流のビジネス向けが多く、一般庶民向け、富裕・エグゼクティブ層向けに大別できそうです。
もちろんBtoB商流の取引もあり、その内「金融-保険」ではプロ向けコンテンツのパンフレットとしてマニュアル形式だったり、「不動産-企業」では不動産特有の重厚感や格調高い表現、デザインが求められます。
一般向けパンフレット
商品リテラシーが高くないユーザーに振り切って作成することが多いようです。この場合、商品のスペック特性や設計図をつらつらと述べても、消費者は理解にも届かず、避けてしまうでしょう。その特徴を一言で表す印象付け、商品の全容を表す俯瞰的図版(フローチャート)等で全体を掴ませておき、そこからディテールに入っていく。そのディテールも5つの特典、3大特徴等数字でナンバリング説明する、等の工夫が必要です。
この層では資料請求にも対応させるケースが多いと思われますので、この場合前ページでも言及した「パンフレットに仕事をさせる」ことが重要で、送付する資料パンフレットのコンテンツ設計がそのポイントとなります。
富裕・エグゼクティブ向けパンフレット
富裕層やエグゼクティブ層といっても、商品リテラシーが高いとは言えません。従って、ここでもなるべく咀嚼したコンテンツのパンフレットが必要です。しかしながらそこを一般向けと同様の切り口、表現性になってしまっては、ミスマッチを起こす可能性があります。
高額な商品、価値の高いサービスを販売するには、提供サイドもそれなりの理論武装、品格、体裁が必要。当然そこで使用するパンフレットもラグジュアリーさ、プレステージ感が求められます。重厚感あるデザイン性、版面率の低い紙面構成、また用紙や加工にも拘りたいものです。
大学・大学院【学部学科】
大学の公式な募集用学校案内や大学パンフレットは会社案内の作成ポイントに譲り、ここでは学内個別の学部学科パンフレットに言及します。大学・大学院では学内の学部・学科、そこから独立した産学官共同の研究機関・研究室で行う広報活動用のパンフレットです。一般の眼に届きにくい社会基盤や科学技術の基礎研究に関して、その活動価値を社会に向け発信する広報媒体として。またそこで未来の科学者を目指し学びたいと考える生徒・学生の募集媒体として。その懸け橋を担うパンフレットと言えます。比較的大規模な総合大学や一般からは距離のある大学院では、総合案内の学校・大学パンフレットでは、存在が見えづらく見逃されてしまうこともあります。際立つ先進の学問と、社会性・公共性の高い基礎研究であるだけに、志しの高い学生・生徒にダイレクトにリーチする手段として、この学部・学科、研究センターのパンフレットがその存在を可視化させます。
もちろん広報・募集媒体だけに、その学問的・専門的情報を網羅させても、産業界、学生・生徒、一般大衆にはうまく伝わりません。将来社会の中で貢献するイメージ、最終アウトプットのイメージなどをわかりやすくデザイン表現する、コピーは機能だけでなく、情緒にも訴えかけ、夢を膨らませる表現力の多様性が必要です。
そこにもちろん、所属する大学・大学院の理念、スクールブランディングの精神を根底に表現していくことは、言うまでもありません。
病院・クリニック
集客・集患目的の病院・クリニックパンフレット
小規模な医院・クリニックと医療機関・病院により目的や用途が異なりますが、総じて集客・集患目的のパンフレットが多く見られます。
一般診療や美容系等のクリニックでは、集客目的のパンフレットが多く、病院案内・クリニック案内というように、一般企業での会社案内的要素があります。しかしながらその使われ方として、会社案内のように商談で使用する、採用で使用するというケースは稀で、そのほとんどが、クリニック受付や院内でパンフレットトレイなどに並べ、来院者にピックアップしてもらう、或いは精算時に手渡す使い方が一般的でしょう。(外部への設置は厚生労働省の「医療広告ガイドライン」の規制に沿って行う)
この病院・クリニックの広告の在り方は、法律や規則でやっていいこと悪いことが明確に決められており、規制の括りを逸脱する集患パンフレットは違法となりますが、それだけに診療内容、設備・機器類、院内の雰囲気等、ファクトやスペックで無難に、というのがほとんどですが、昨今ではその中においても個性や特徴を少しでも打出したい、という新規開院した病院・クリニックでは、デザイン的にキャラクターやイラストを使ったり、クリニックカラーの主張でその存在感を示すことや、ドクターのキャラや個性にフォーカスするコンテンツなどもあり効果を高めています。
大型の病院では人間ドック・企業検診サービスのパンフレットがありますが、これもやはりブランディングや差別性という、テーマをパンフレットづくりの要件にしたいものです。
広報目的のパンフレット
比較的大型の公立病院・医療施設で作成する広報パンフレットのポイントです。弊社の制作事例を例にとると、障碍児を持つ在宅医療に関して、それを広報するパンフレットを作成しました。このケースの場合、意外とそのシステムや、近隣にある掛かり付け病院が認知されていない障碍児家族が多かったのに対し、それを広報・告知する手段にパンフレットを作成しました。パンフレットのタイトルネーミングすること、全面を優しい温かいイラストで表現し、その親子を見守りエスコートするいイメージをコンセプトにブランディング、デザイン・コンテンツを作りあげました。Webサイトとの連携でその効果を一層高めるメディアミックスを実現することができました。
【NEXT】「パンフレットのデザイン性」に続きます。
次のページでは、パンフレットのデザイン性についてご説明します。パンフレットデザインには様々なモチーフがあり、業種、製品・サービス、ロゴマーク、イラストレーション…等、用途やターゲットに適した要素が存在します。デザイン事例を参照しながら言及していきます。