01学部や研究センターで個別作成する意義
大学総合案内と学部・専門学科の関係
大学での学生募集に関する広報活動は、大学案内パンフレットや大学入学案内に代表されるよう、全学部を対象として網羅的に取扱うことが一般的です。
その中で、高度な専門性があり学術性の高い学問として確立され、さらに優れた教授陣が揃った学部や研究センターでは、ともすればその網羅的情報に埋もれてしまい、その本来の価値の伝達が限定的になってしまうことがあります。
そこで効果的なのが、学部や研究センター自身の専用媒体の存在です。このことは大学院においても同様のことと言えます。
学部・学科・研究センターでダイレクトに作成
大学広報の案内パンフレットはそれはそれで重要な役割を果たしますので、そこからその学部・学科情報を掘り下げる学部単独の広報パンフレット、学生募集のパンフレットが効果的です。
例えば、大学の研究プロジェクトや産学官での共同研究、また公益性の高い高度な最先端技術や製品・サービスの研究開発、中には国策レベルのものまで存在します。
ここで学び活躍する学生にリーチするのは、もはや網羅的な広報媒体では限界があり、ピンポイントで獲得したい優秀な学生に発信する、学部学科・研究センター専用で作成する学生募集パンフレットです。
02学部・学科ブランディング確立が重要
募集ターゲットは高校生や大学生とそれらの父兄
高度な先端技術や独自性のナレッジを持つアカデミックな組織ほど、その優れた機能性や学術性からか、その差別的優位性や一般社会で好感を持たれること、つまりブランディングの取組みにあまり興味を示されないことが多いようです。
もちろん当該大学の枠組みの中での一組織ですので、まずは大学理念に基づくスクールブランディングがその根幹をなしますが、特に高校生や大学の受験生に向けた情報発信ですので、何をかいわんやです。それだけでは高校生や大学生、またその経済的主体の父兄への理解と共感は限定的と捉えています。
独自のブランドイメージづくり
以上のようにいくら将来を嘱望された御学部学科を志望しようとする優秀な生徒や学生でも、機能性や理論のファクトだけでは、その深い理解と共感に導くことは厳しいと言えます。
この理論や学術性に加え、学部や学科の持つ情緒的で、ある種の人間臭さを表現する、また優れた理論を一般社会の中で気持ち良く心に溶け込み、そこに好感を醸成できる要素をビルトインさせる、それが学生募集パンフレット作成に必要なファクターです。
いわゆるこれが、学部・学科独自のブランディングであり、再度言及しますが、受験生やその父兄に気持ち良く"ここしかない"と意思決定させるための、最後に背中を押す一手だと、お考えいただければと思います。
03【導入事例-01】学部学科の学生募集パンフレット
東京工業大学 生命理工学院 様
同大学は工学・機械系大学のイメージが強く、生命工学系学部の認知度は比較的低いという問題を抱えていました。国内最高レベルの教育研究機関でありながら、受験生にどのように伝えることが共感を得られるのか、という命題を切り口に、生命理工学とはどういう学問なのか、将来にどんな可能性があるのか、さらにその魅力はどこにあるのか、それらの要素を徹底的に洗い出し、生命理工学院の学術的側面をアカデミックになり過ぎず親しみやすく、DNAやゲノムのイメージをモディファイしました。またコンテンツの在り方も、その複雑で難解な学術内容に咀嚼を加え、それでいて一定のリテラシーある受験生に幼稚にならず、適度に高度なレベルを保ちました。
構成として比較的イメージしやすいキャッチ-なコピーを随所に大きく配置し、掴んでもらいたい要点を、クローズアップしたタイポグラフィにしました。
また教授や研究員の講師陣紹介は、カラフルにカジュアルさも出して、高校生はじめとする受験生やその父兄にも好感を得られるよう演出効果を発揮しました。
04【導入事例-02】学部学科の学生募集パンフレット
早稲田大学先進理工学部 応用化学学科 様
自然科学を基礎とする、最先端の高度先進技術を研究・開発し、研究・教育・社会への実践的な貢献を担う学部学科です。それだけに機能重視、学術寄りに陥りがちなところを、これからこの学科で学ぶ受験生目線、さらにはその父兄目線も見据え、地方から上京してくる不安感も払拭できるコンテンツやデザイン構成としました。
その一つに新宿副都心へのほど近さ、都会でのキャンパスライフをある意味でおう歌できる立地イメージ。二つ目に東京メトロ副都心線 西早稲田駅直結の研究室。通学には理想的で誰もが羨望する立地環境を、パンフレット表紙のコラージュデザインで表現しました。
同大学のスクールカラー、"マルーンカラー"(えび茶色)を基調としたカラーリングと合わせ、まさに機能と美のシナジーを実現した学科パンフレットの逸品といえます。
「卓越した先進の研究・学問」、「立地環境」、「スクールカラー」の3つの特徴は、まさにスクールブランディング、言い換えれば、学部学科のブランディングを地で行くケーススタディです。