01学校案内はスクールブランディングの集大成
学校によってデザインは千差万別のはず
学校案内や学校パンフレットの作成目的は、ターゲットである生徒とその保護者に学校の魅力を強く印象付け、応募に対するモチベーションを高めること。校風、学科、教育システムをわかりやすく伝えるコンテンツ・構成を企画し、学校の「品格」にふさわしいデザインをご提案していきます。例えばこんな5校では、ふさわしいデザインやコンテンツが全く異なります。
- 財界・政界に貢献する人材を多数輩出している歴史ある総合大学
- 比較的新しく、IT系、情報系分野に強い大学
- 海外からの留学生をメインにグローバル人材を育成する地方の大学
- デザイン、映像等クリエイティブ系専門学校
- 小・中学校受験に特化した著名な塾
明らかに異なるタイプの学校属性ですが、意外と特徴をあまり感じない学校案内・学校パンフレットが多いのも事実です。
なぜスクールブランディングが必要か
スクールブランディングを一言で言うと、大学・高校・小中学校・専門学校・塾・スクール等の好ましいイメージが、人々の気持ちに溶け込み、刷り込まれていくプロセスを、意図的にコントロールする取組みのことです。
どのような学校にも必ずその要素は存在しています。
確かに、爽やかで、明るくはつらつとしたキャンパス、楽し気な学生や生徒が前面に主役で…、といった学校案内・学校パンフレット、これ自体を否定はしませんし、むしろ学校の価値観を表す重要な要因であることは間違いありません。
しかしながら、このことのみが本来の自校の価値や特長を表す表現方法かどうか。
建学の理念、教育方針・教育哲学等のスクールアイデンティを基盤に、社会における自校の存在感、他校との相対的差別性・優位性に深くフォーカスを当て、今一度これらを明確に定義する作業が、前述したターゲットの意識を意図的にコントロールするファクターとなります。
新たな気付きをもたらす進化のスタイル
実はこの作業は、一方でこれまで気付いていなかった自校の新たな魅力や差別性が浮彫になってき、ターゲットたる生徒本人のみならず、その父兄・親族等に対し、その本質を伝える方法や力強いメッセージが、新たに浮き彫りになることがあります。
まさにこれはスクールブランディングのスピンオフ的な効果であり、弊社では学校案内パンフレット作成において、このようなエピソードになることを少なからず体験しています。
このように、スクールブランディングの取組みがもたらす付加価値は、競合校や各種学校がひしめく中から、”選ばれる学校”の広報手段として、学校案内・学校パンフレットの進化形であると言えます。
会社案内作成に必要な一般的要件他校との違い、差別的優位性を測る指標
- 他校との違い、差別的優位性を測る指標
- 建学理念、教育方針
- 創業からの歴史、人材輩出、実社会での貢献
- 学部・学科カリキュラムの特徴
- 大学院設置・研究室の存在と役割
- 教授陣・講師陣の特徴
- 研究・開発、官庁・産業共同活動
- 社会貢献、社会活動・ボランティア
- スポーツ・文化・サークル活動
- 海外留学・インターンの実施状況
- 就職指導・就職実績・学内ベンチャー
- 資格試験・有資格状況
- 外国人・留学生の受入れ状況
- 情緒的な校風・一般的なスクールイメージ
※その他にも、様々な指標があると思われます。
02スクールブランディングで独自の魅力を発信~浸透
スクールブランディングを可視化させる意味
建学理念、学科構成、授業・講義・カリキュラムの品質、教授・講師陣等、いわゆる学校の”ファクト情報”や“スペック”が、学生や生徒、その父兄にとって重要な意義を持つことは当然です。そのスペックを“魅力ある特徴””入学を希望したい”という意識に転換させるための他校との”差別的優位性”を発揮すること、これは前項でも述べた通りですが、この要素を可視化・言語化してはじめてメッセージ性をもつことができます。それでこそターゲットである学生・生徒の本人、その父兄・親族にダイレクトに発信でき、その感性にダイレクトに作用することとなります。
潜在価値を可視化・言語化する
ここまでの作業で、顕在化したブランディングマターの情報や要素を、具体的に可視化して言語化します。その明確な広報手段として、以下でサンプル提示する、ブランドメッセージや可視化するマークデザイン、ビジュアルデザインが学校側とターゲット側との重要なコンタクトポイントとなります。
以下で具体的な要素で可視化・言語化します。
差別性と付加価値をもって臨むスクールブランディングは、生徒募集効果を高め、厳しい学校間競争、少子化など環境の変化に打ち勝っていくためには不可欠のスクール広報・広告戦略であるといえます。
会社案内作成に必要な一般的要件他校との違い、差別的優位性を測る指標
- コミュニケーション・メッセージ/他校との明確な違いや独自性、優位性を顕在化させ、これを象徴的な視覚要素に可視化したり、コミュニケーション・メッセージにしてターゲットに届けます。
- コミュニケーションマーク
- カラーコンセプト
- コミュニケーションワード・タグライン
03決定権者・父兄へのメッセージ
実はこのスクールブランディングの考え方は、志望する生徒や学生へのメッセージ性や情報提供はもちろんですが、実は最終決定権を有する父兄・親族の意思に作用するものと考えます。
受験料から入学金・学費その他諸々のコストは、その殆どは生徒の父兄の負担です。お金出して口出さない、という親御さんはあまりいないでしょう。
その中でその父兄の関心事というのは、学校の本質である建学精神、教授陣・講師陣体制、就職先、卒業生の社会での活躍、それに就学期間中にかかるコストでしょう。
言うなれば、対象となっている大学・短大・専門学校の無形の資産・差別性や優位性、それと学費コストです。実は前者はまさにスクールアイデンティティとブランディングの要素です。
04【導入事例】学校案内・専門学校パンフレット作成
事例-01/学校法人 日本体育大学日体柔整専門学校 様
ブランディングコンセプト
柔道整復専門学校として長い歴史と実績を誇る、専門学校案内パンフレット制作・デザイン作成事例です。
高い国家試験合格率を誇るだけではなく、卒業後の就職・進路も非常に安定しており、単に柔道整復師としての資格を取得することだけでなく、その先を見据え臨床実習等に力を入れることが同校様の教育方針です。
このような教育方針もさることながら、入学後には何をどのように学ぶのか、どんなキャンパスライフを送るのか、どんな学生が学んでいるのか、これらを具体的に学生目線でイメージできる学校案内としました。さらに受験者本人だけでなく、父兄の強い関心事の一つである、様々な卒業生がどんなフィールドで活躍しているかが具体的にわかる狙いから、このコンテンツを学校パンフレット本体から切り離して、「先輩BOOK」として別冊のパンフレットを作成しました。
学校パンフレット
キャンパスの楽しさ明るさはもちろんだが、「柔道整復師」という特殊な技術を身につけるもの。実はそのインサイトは、キャンパスの明るさ楽しさに一般的に意外とつながらないのも事実。むしろ積極的に前面に押し出していく。その上でこの学園の独自性と手厚いカリキュラムの臨床実習についてページを多く割いている。
先輩BOOKパンフレット
卒業生が社会で優れた活躍をすることが、学校の最終目的であり、その実績の多さは学園の誇り。あえてパンフレット本体から切り離すことで、露出度を高め、そのプレゼンスを高めることを狙った。
オープンキャンパス告知用ポスター
事例-02/学習塾PIC 様
CI・ブランディングのコンセプト
「どこよりも慶應生を理解している」をスローガンに、慶應義塾大学への進学を目指し、慶應内部生と言われる幼稚舎、普通部、中等部、湘南藤沢、塾高等の慶應内部進学に特化した極めてニッチな領域の専門学習塾です。
ユーザーは慶應内部生という極めて狭く限定されていること、入塾希望者は殆どが口コミ、紹介であるため、広くマーケットに同社のプレゼンスの浸透を図るブランディング手法ではなく、ソリューションのあり方をCI的、プロダクトアウト的「企業コンセプト」に力点を置いたブランディングを目指しました。
媒体展開とコンテンツの在り方
ターゲットは慶應内部生の「父兄」と定義、慶應内部生やその父兄のみにわかる共通言語もあえて用い、特にそれを咀嚼する表現方法はとらないことで、非日常感や一般とは一線を画す、いわゆるこれをスクールブランディングの基本概念と位置づけた。
コンタクト手段は、塾サイドから強くリーチすることは不要だが、その存在の確立と口コミからのファクトの確認媒体としてスクールWeb、また塾見学や体験入学やWeb資料請求用に活かす塾パンフレット。これら紙・Web二媒体の導入を軸に展開することとなった。
塾・スクールパンフレット
媒体カラーコンセプトをスクールカラーのオレンジ色とし、パンフレット・Web共通のブランドイメージとした。オレンジのベタと白無地のコントラストを、大胆にして低版面使いのシンプルさの中に、「コツじゃない。学力だ。」「学力≒覚悟」などといった象徴的で挑戦的なコピーで父兄に訴えかける。慶應内部生、その父兄には伝わる、隙間戦略としてのスクールパンフレットの極み。
塾・スクールWebサイト
パンフレットのDNAを受け継ぐスクールWebサイト。媒体展開の企画コンセプトに準拠するコンテンツは、パンフレットとの矛盾や齟齬は微塵も無い。