01中堅中小のブランディング・CI 【参入障壁?】
ブランディングやCIについて、中堅中小企業においても、
「そろそろ自社の存在定義をきちんと整備しなければ...、
それを何かしら統一したイメージで社会に、マーケットに発信したい...」
このような問題意識を漠然と持っておられる企業は、その意思が具体的に顕在化していない潜在ニーズも含めると、意外と少なく無いものと見ています。
しかしながら一方では、何となくの縁遠さ、関わりにくさ、機会を見出せない...
このような意識も少なからず存在するようです。少々大げさな表現ですが、このブランディングやCIへの”参入障壁”とは何でしょう?
以下に列記してみました。
● 導入したいと思うが、何からどう取り組んでいいのか?
● アウトプットや成果物が見えないため、取り組む効果をイメージできない
● 相談先がわからない、どこに頼むのかが不明
● 専門コンサル会社への依頼は、高額なコストがかかりそうで敬遠気味
● 製品の技術や開発が優先で、現状競争力があるため必要性を感じない
● 販売商社のため製品は規格品だし、多数のメーカー品を扱うためブランド化しにくい
● 大企業のようにCIやブランディングの専門部署がなく、担当する人材もいない
● 中小企業なので「ブランド品」という概念は無いし必要無い(錯誤)
● そもそもブランディングの概念や必要性がわからない
その他さらに色々な事情があるようですが、その本質はやはり大企業や知名度のある企業とは異なり、
中堅中小企業のブランディング・CI取組みへの関心や意識は決して低くはないが、そのハードルは少々高めと見て取ることができると思います。
では中堅中小企業がどうすれば、ブランディング・CIの取組みへ意識を高められるのか?
よし!やってみよう。と言う動機になれるのか?
その前にCIとブランディングの定義を明確にしておきます。
02『CI』『ブランディング』の定義
CIの基本概念
これは中小企業でも大企業でも、その垣根なしに普遍的なことなので、
あくまでも一般論で端的に言うと、
「我社はかくあるべき、かくあることが存在の意義!その理念や行動のあり方を統一した概念で表現すること。」
と言うようにかなり大雑把な表現ですが、
これがCI=コーポレート・アイデンティティです。
このCIは、3つの構成要素で成り立っています。
MI=マインド・アイデンティティ/「理念の統一」
BI=ビヘイビア・アイデンティティ/「行動の統一」
VI=ヴィジュアル・アイデンティティ/「視覚の統一」
因みにわかりやすいところで、
上記CIの中の「VI」を端的に言うと、
ロゴマーク、ロゴタイプ、コーポレートカラーなどを言い、
MIやBIの精神を視覚化、象徴化したものと言えます。
詳しくは「パンフレット専科BLOG」『CI【MI・BI・VI】の取組みとその価値』もご参照ください。
これらCI計画の取組みを弊社にて承った導入事例を以下で2例ご参照ください。
◎【制作実績】CI・ロゴマーク|橋永金属株式会社 様
金属製品専門商社のVIの象徴となるロゴマーク制作実績です。同社様の「お客様のパートナーとして愛され、また頼りになる存在でありたい」という企業理念(MI)をシンボライズさせました。そのデザインコンセプトを愛着・親しみ・独創と設定し、その形状はカタカナ社名の独創的なタイプフェイスで設計しました。カラーは緋色を採用、快活で力強い企業ブランドを演出しています。
◎【制作実績】CI・ロゴマーク|株式会社アクシスネット 様
駅務・金融・通信システム機器の設置・保守メンテ事業を行う企業様のロゴマーク制作実績です。
創業50年間、「技術力・人間力」を企業のモットーに、顧客からの信頼を勝ち取ってきた。これを糧に新たな成長戦略を打ち立て、新しいビジョンにチャレンジしていく。つまり「技術力・人間力・信頼」をMI、新ビジョンへのチャレンジをBIと、VIに具現化していきました。
そのデザインコンセプトは、社名イニシャルの「A」をモチーフ。右斜め上への指向で成長性と発展性を象徴。なんとマークのセンターには1番を表す人差し指を視覚トリックで表現、同社様代表の強い想いをここに込めました。
ブランディングの概念
一方、ブランディングです。
「企業・製品サービスを対象に、独自の価値感や差別性を社会やマーケットとコミュニケートしながら、認知させ、評価を得ていく取組み」と言えます。
ブランディングはマーケットイン志向の「エクスターナル」、つまり外向きなものですので、「インターナル」なCIとは異なり、その対象は、広く社会やマーケット、具体的には顧客・ユーザー、競合他社、業界関係者・団体、取引業者、株主・投資家、官公庁、金融機関等、全てのステークホルダー(社員含む)となります。
これもかなりアバウトな表現ですが、凡そブランディングを言い表したものです。
このブランディングでよく勘違いされるのが、海外の高級ブランド、メガブランドの装飾品・高級時計・洋服、これはかつて古(いにしえ)に使われていた表現です。
現代ではその定義から大きく裾野が広がり、もう少し専門的な言及をすると、
「社会、マーケット、ユーザー、広くはステークホルダーなど、企業、並びに当該の製品やサービスを対象に、人々の心理に作用させ、好感という意識を醸成し、競合や他社との差別性、優位性を高めることにより、直接・間接に売上やシェアアップに資する取組み。」と言うものです。
CIとブランディングの関係性
これらCIとブランディングは見方によっては、似て非なるものですが、以上からその違いはおわかりになったと思います。
要約すればCIがまさに自社の絶対価値基準であり、ブランディングが相対的な価値基準であるといえます。
しかしながらCIとブランディングはその成り立ちや展開の違いから、全く別物と捉えられることもありますが、これには少々異論があります。
つまり「CIの基盤の上にブランディングが存在している」、
コンテンポラリーな見解で言うと、「CIはブランディングに含まれる一要素」、と言って差し支えないと思います。
ここはきちんとそのポジショニングを認識しておく必要があります。
また逆にCIとブランディングをゴチャ混ぜにしているケースもあり、きちんと仕分けして明確に定義づけをしておかないと、
前述の「1.中堅中小のブランディング・CI ”参入障壁”」でも言及の通り、
ただでさえ見えにくい効果が、益々見えづらくなることは必至で、いくら取り組んでも効果が得られないことにもつながってしまいます。
03【どう取組む?】中堅中小のCI、ブランディング
中堅中小でも取組みやすいスタイルとは?
では中堅企業や中小企業がこのCIやブランディングにどう向き合うのか?
どうすれば中堅中小企業が必要性を認識され、導入に強い関心を示すことになるのか?
また参入障壁を低くすること、無くすことができるのか?
前項で言及したように、
「CIはブランディングに含まれる一要素」
だと考えれば、あまり杓子定規のように、細かい定義付けをせずともいいのでは、とも考えています。
そこで弊社として以下の通り提言したいと思います。
CIやブランディングという枠組みや定義にあまりとらわれず、
● 社内の会社案内・カタログ・Web・名刺...広報・広告物のイメージ統一
● 自社の強みや存在感(プレゼンス)を市場やユーザー・ターゲットに示す
● 取扱い製品・サービスについて、競合他社との差別性・優位性を訴える
● 社員やその家族にまで踏み込み、自社を客観的に見つめ、さらに愛着を持たせる
● 周年記念、世代交代、経営刷新、事業再編等の機会は絶好のチャンス
● 採用活動で就活生に自社のアピール度を高める
このような日常的な表現や普段から直面している意識レベルで考えると、いかがでしょう?壁は低くなりませんか?
確かに前項の後段で述べた、CIとブランディングの明確な仕分け、とは若干矛盾しますが、
ここではそれぞれの定義は明確にしつつも、その企業が取組みやすい、導入しやすい形でうまくアレンジできればいいのでは、と考えています。
そこで以下には、その典型的事例とも言えますが、CIで企業ロゴマークを刷新することで、
その事業ドメインをWebサイトで広く発信していくという、CIと企業のリブランディングを融合させた弊社実績をご紹介します。
ちなみに「リブランディング」とは後述しますが、企業・製品サービスを巡る事象の中で、再構築や方針転換を図る機会に、その行為や活動を社内外に認知させようとする取組みです。
ミニマルで非常にオーソドックスなケーススタディですので、中堅中小企業でもご参考にいただけると思います。
◎【導入事例】CI・リブランディング|福興産業株式会社 様《福島県郡山市》
事業承継による社長交代と新社屋落成を機に、コーポレートサイトをリニューアルしたいとのご要望に際し、詳細なヒアリングからその真意は"企業イメージの一新"にあると推察、その方向性で要件をさらに顕在化させていくこととなりました。
その本質は、企業のポジショニングの見直し、さらにCIについてその基本概念は変わらないものの、新世代の事業戦略や価値観の表現方法は衣替えする必要があるため、この際ロゴマークの刷新、さらにその信条をマーケットやユーザに対し発信する「タグライン」に込め、それらの開発にあたることとなりました。
言うなればCIとリブランディングをハイブリッドにて構築することを提案、かねてより同社様が重視するCSRや環境活動もサイトの重要コンテンツに位置付け、持続可能性を謳う「SUSTAINABLE」をアイキャッチに採用することとしました。
そしてこのCIの理念やビヘイビアについて、マーケットでコミュニケーションしていく同社様の姿を「事業に伴走する環境カンパニー」としてタグラインに認め(したため)、これを事業ドメインの象徴とすることをご提案、採用いただくこととなりました。
とは言え、このように様々な施策を構じているかに思えますが、
実はコーポレートサイトとロゴマークの刷新を基軸にした、CI・リブランディングの取組みと言え、決して重いプロジェクトではありません。
まさにちょっとした思考の持ち方で、CI計画やブランディングの取組みにまで昇格できる潜在性を秘めていると言えるでしょう。
04【御社でも当てはまる?】CI・ブランディングの動機
前項まででCI・ブランディングのおおよその概念を述べてきましたが、
ここからは本質にもう少し踏み込み、具体的に言及していきたいと思います。
中堅企業や中小企業がどのような機会に、CI、ブランディングのどちらに取組むのか?
またはそれらを融合させて複合的に取り組むのか?
実際に弊社がよく遭遇する中堅中小企業の動機をあるある的に列挙し、
それを「CI」、「ブランディング」、「CI・ブランディング複合」など、あまり形式にこだわることなく、様々なケースに対し、どのような取組みをするのか、それに対しどのような手段やツールを使うのか。ケーススタディの一例としてご参照ください。
御社にあてはまるケースがあるかもしれません。
1. 創業の理念を大切に、社業発展に打ち込んできたが、それを社内外に発信する機会がなかった
▶︎「CI」の定義を広報認知させる機会です。創業年間が長く、安定期に入った企業で、企業の創業理念、存在意義、社会貢献性、また次世代の持続成長を目指すビジョン等、まずCI計画で再定義します。広報する手段としてはまず最初にCIマニュアルを現代版に刷新し、コーポレートサイト・会社案内・業界誌、インナーに向けては社内報・ブランドブック・クレド、また社員参加型の企業PRムービーはモチベーションアップに大変効果的です。
2. 会社の歴史は長いが、その経年価値を振り返る機会を持たなかった
▶︎周年記念、創業記念を「アニバーサリー・ブランディング」として広報認知させる機会です。企業の経年価値は信用の証でもあります。その価値をアニバーサリーロゴ、記念誌、コーポレートサイト、周年動画、式典等で認知させます。製品サービスに対する周年ブランディングも大変効果的で、巷では販売促進の機会にも活用されています。
3. 起業してベンチャー意識の下、一途に走り続けてきたが、一度足元を見つめ直してみたい
▶︎「CI」を再定義し「インナー・ブランディング」を検討する機会です。起業後本業中心になっていた業務オペレーションのあり方から視野を広げ、企業内部の充実や統制を図るべく取組むブランディングです。ツールはブランドブック、社内報、クレド、またコミュニケーションマーク、コーポレートメッセージ等も社内意思統一に有効です。
4. 一定の成長戦略を描けたためIPOを考えている
▶︎包括的な「企業ブランディング」、取扱い製品・サービスの「プロダクト・ブランド」を確立する機会です。また投資家・株主へのメッセージとして「CSRブランディング」に取組むことも、市場の信頼性を高めることとなります。広報手段は会社案内、企業案内動画、コーポレートサイト、製品パンフレット・カタログ、CSRリポート等です。
5. ロゴマークは創業より存在するが、明確な定義や運用規則がない
▶︎典型的な「CI」の取組みとなります。CIマニュアルの整備、クレドがそのツールですが、この機会にタグライン開発やさらにロゴマークのマイナーチェンジ、刷新も有効です。
6. 業界で製品力・技術力の高さには定評があるが、顧客の愛着や好感度で何か足らないものがある
▶︎製品の価値や差別性を、市場やユーザーに発信・再評価させる「プロダクト・ブランディング」の機会です。技術力や開発力の高い企業ほど機能・ファクトに寄りがちですが、その優れた面をブランドイメージ化します。その広報手段は、製品ロゴ、製品パンフレット・カタログ、製品動画、コーポレートサイト、プロダクト専門サイトの立ち上げ、イメージキャラクター業界等々。
7. 近年大手企業や官公庁との取引が多くなり、ネクストステージへのランクアップが必要
▶︎企業プレゼンスや価値を高める「BtoBブランディング」、「BtoGブランディング」の取組みです。企業間取引における取引先のグレードアップは、与信性、堅実性、持続性に加えやはり相応のプレステージが必要。また「BtoG」の官公庁取引も同様です。広報媒体としてはコーポレートサイト、会社案内は特に重要なツールとなり、相応のクオリティが求められます。
8. 世代交代で社長や役員の入れ替わりがある
▶︎「CI」の刷新、「リブランディング」に取組む機会です。新社長体制後の企業理念、事業方針が大きく変更される場合、単にリブランディングだけでなく、ロゴマークの刷新などCI刷新に踏み込むことは選択肢です。大きな変化が無い場合でも社長交代を市場やユーザーに認知させたい場合はあえてリブランディングの取組みを行います。広報媒体は会社案内、動画、企業サイト、業界誌広告等です。
9. 企業や製品の知名度は年々低下しており、何かテコ入れしたいが...
▶︎とても代表的な「リブランディング」の機会です。企業で言えば社名変更、事業承継、CI刷新など、また製品・サービスでは製品全面リニューアル、仕様大幅変更、製品ネーミング変更等です。しかしながらリブランディングの最も活きる場面は、企業の業績回復戦略、主力製品の長期逓減に対する上昇起爆剤など、市場でのリベンジ、ユーザーの再評価獲得の機会であると言えます。広報・広告手段は企業でコーポレートサイト・会社案内・動画・業界誌広告、製品サービスでは製品ロゴ・製品パッケージ・POP・パンフレット・カタログ等が挙げられます。
10. 新規取引を目指す、新販売チャネルへ進出し販路拡大を狙っている
▶︎「BtoBブランディング」「BtoBtoCブランディング」に取組む機会です。これまでに取引のなかった新規ユーザーへの自社製品・サービスの強み、競争力についてファクトだけでない、信頼醸成のブランドイメージを伝えます。代理店チャネルでエンドユーザーにリーチするBtoBtoCは、Cユーザー、つまりカスタマーへの好感醸成がポイントです。
11. 求心力を高め組織力向上を図り、社内の体制固めをする機会がほしい
▶︎「CI」の再定義、「インナー・ブランディング」(組織内・社内)に取組む機会でしょう。社内で求心力低下やベクトルの不一致が起こっている場合、CIを社内で再認知させるインナー・ブランディングが最適です。ブランドブック、CIマニュアル、クレド、コミュニケーションメッセージやマーク、ポスター、社内報等のツールが有効です。
12. 企業ホールディングスとしてM&Aや分社化で拡張した業容のベクトルを一致させたい
▶︎「CI」の再定義、「インターナル・ブランディング」(組織間)に取組む機会です。
これも前項に似た例ですが、HD内の各企業内のベクトル、企業間のベクトル、それぞれ異なる社風や異業種であったりすることもあるため、社内と組織間で検討を加えます。ツールはブランドブック、クレド、社内報、ブランド統一メセージ、またHDサイトの情報再構築も必要です。
13. 採用活動で学生や就活生へのアピール度を高めたい
▶︎「採用ブランディング」に取組む機会です。中堅中小の採用活動は強い逆風だけに、統一したブランディングの概念に基づき仕掛けをしたいもの。その中でツールに込めるブランド一貫性はその大きな一つで、就活生への大きなアピールになります。広報媒体は採用パンフレット、入社案内、採用動画、採用サイト、説明会ブースデザイン等を統一コンセプトで取組みます。
14. Web、販促物、広告媒体の発注が部署単位なので、仕上がりが統一されずバラバラ
▶︎「広報ブランディング」、さらに「CI」の再定義、「インナー・ブランディング」に取組む機会です。中堅中小企業でよくあるケースです。社内に広報部門が無く、専任者がいない場合によく起こるケースで、まずは部門・専任者を社内につくることが先決です。その上で統一見解を全社員に向け徹底させる機会を持ちます。ツールはブランドブック、CI・VIマニュアルの他、不一致な、規格外の広報・広告物のリニューアルが必要です。
いかがでしょうか?
御社に当てはまるケースはありませんか?中堅・中小企業で生じている特徴的なケースではないかと思います。他にも様々なケースがあると思いますが、まずはこれくらいで留めておきたいと思います。
その中において、ブランディングは種類が多く、その範囲が広いことに気づかれたと思います。
それはやはりやビジネスにおける取引関係や、BtoB、BtoCの様々なターゲットユーザーへリーチし優位性を訴求する必要性があり、それらが売上・シェア拡大に直接・間接に関わってくることが多いためと考えられます。
一方CIもその企業の根源的な存在に立脚したものであり、前述した通り、CIの主張が明確だからこそ、ブランディングの意義にブレがなく、首尾一貫した価値観を訴えたり、醸したりすることを可能とするものと考えます。
最後に以下でCI要素をしっかり根底に持ちながら、ブランディングマターの弊社ソリューションの導入事例です。前項14項目のケーススタディに即した制作事例もありますので、より具体的な視点でご覧いただけます。
05【実践導入事例】中堅中小のCI・ブランディング
【導入事例】『プロダクトブランド』で製品価値を高める/橋永金属株式会社 様
【CI&プロダクトブランド】プロダクトネームに魂を吹き込む『創作書体』
このテーマ記事の冒頭でご紹介した「CI・ロゴマーク制作実績」、橋永金属株式会社様の関連する『プロダクトブランド』導入事例です。
前述の新CI導入に関連して取組んだケースとしては、CIとブランディングの複合施策と言えます。
この『プロダクトブランド』事例としてはミニマルなケースですが、オーソドックスでしかもビフォア・アフターでその違いを検証できるため、ここでご紹介することとしました。
冒頭では同社様の企業情報に触れてなかったため、先ずここで概要をご紹介します。
同社様は非鉄金属材料・加工部品を、自動車・電子部品メーカーに供給する専門商社ですが、一部で自社開発によるOEM製品も有する企業です。そのOEM製品は『アルミセンターレス』という固有の製品名を持ち、他社ではなし得なかった業界初の"センターレス加工のアルミ丸棒"として、業界では非常に競争力の高い製品となっています。
この製品の商標登録が完了したことを機に、前述の通りCI計画の関連・一環として『プロダクトブランド』を弊社にてご提案する運びとなりました。
そもそも同社様の会社案内とこの製品の製品パンフレットを弊社にて制作していた経緯がありましたが、製品パンフレットはその時点ではいわゆる”有り物”のフォントで製品名を表記していました。
ここでこの状況に少々考察を加えます。
製品パンフレットを見たユーザーは、その時点ではそこにブランドイメージという価値観や期待感は持てない、という意外な事実が存在することになります。製品パンフレットの本文情報を読めば優れた製品であることは当然わかるものの、実はそれらは機能やファクトに対するものであり、ユーザーの心理に宿る情緒的な”美”の意識にまでは至りません。言うなれば、優れた機能と美の感覚、つまり”機能美”という二面性を兼ね備えることが、真にブランド力のあるプロダクトと言えますが、本製品は機能において抜群の優位性を発揮しつつも、残念ながら”美”を追求する、という側面を備えられていないのがその実態と言えるでしょう。
そこには差別的優位性の高い”ブランド”、という意識はユーザーには芽生えません。
そこで他の追随を許さない頂点を不動のものとすることを狙いとして、機能と美を備える製品力に相応しい、オリジナルの製品名創作書体、つまりブランドロゴタイプ(製品ロゴ)の制作と、その製品ロゴを反映した製品パンフレットのリニューアルを同社様と合意に至りました。
これでこそ”ブランドの力”という新たな力を得て、この製品の本質全てを顕在化したと言えるものです。
では前置きが長くなりましたが、以下の制作実績をご覧ください。
『創作書体』の製品ロゴデザイン
プロダクトロゴマニュアル
新・旧製品パンフレット
プロダクトブランドの確立に基づき、そのブランドコンセプトを投入することを目的に、弊社にて以前制作していたアルミセンターレスの製品パンフレットのリメイクにあたりました。新・旧比較で掲載していますので、その違いを非常によくご覧いただけます。まさに新・パンフレットは、魂が吹き込まれたかのように生き返ったと言っても過言ではありません。
一目瞭然でしょう。いずれも弊社制作とは言え、この違いは何をか言わんやです。新パンフレット右上のプロダクトロゴは、洗練され都会的なイメージを放っています。明らかに旧パンフレットの製品名表記とはその価値の違いを感じていただけると思います。もちろんその製品イメージカットのシズル感溢れるメタル感、その特徴と言われるシームレスが断面画像でよく表現されています。実はこのプロダクトの真髄とその価値を表し支えるプロダクトロゴ、つまり「機能と美」の二面性が、「プロダクトブランドの真髄と言え、新製品パンフレットの付加価値を創出しています。
ちなみに左下の赤色の「ハシナガ」は、ページ冒頭でご紹介した同社様の企業ロゴマークです。このマークもここでとてもいい味を出しています。
06やってみよう!気軽にブランディング・CI
以上、「中堅中小でもすぐに導入できるブランディング」をテーマに縷々述べてまいりましたが、いかがでしょうか?
できるレベルでやってみよう!と少しは御社の背中を押すことになったでしょうか?
意外と手軽に、あまり重さを感じず、身の丈に合った取組みが可能であることに気づかれたと思います。
しかしながら導入することが目的では無いので、まずは何の要素をどのように実行することが、自社の存在価値を高め、製品・サービスのブランド価値を高めることができるのか?
まずは御社の分析から始めて見ましょう。お気軽に弊社へご相談ください。無料相談室もご利用いただけます。隗より始めよ!です。