効果的なパンフレットとは?《デザイン10事例で解説》
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効果的なパンフレットと言っても、
営業効果なのか?採用効果なのか?広報効果なのか?
営業といっても商談なのか、それともインサイド?
展示会?リード獲得用?
それが大企業なのか?中小企業なのか?
業種による効果の違いは?。。。等々、
求める効果が種々様々、一概にこれだ!とは言えません。
果たしてそれらの効果たるや、如何なるものか?
パンフレットに明確な効果を、とお考えの向きは、
是非一読を!
映画パンフレット、観光ガイド、取説・マニュアルガイド、
また官公庁が発行する各種の案内パンフレットなど、
ビジネスに直接関係しないパンフレットは、当記事では対象外とします。
1. パンフレットに目的はあっても効果を求めているか?
01. フワッとした目的はあっても効果までは。。。
長年クリエイティブに携わっている筆者の経験上、
パンフレットという媒体に効果を求める傾向は、明らかに過去より強くなっている印象です。
以前は、つくる目的はあっても、目指すゴールを明確に定めていない、効果というより、
一般企業では、
「無いと仕事上で困るから。。。」
「会社や製品・サービスを紹介する公式な印刷物が必要。。。」
店舗・施設・クリニック等では、
「顧客のリピートや新規集客に何らか活かしたい。。。」
そこには具体的な効果や目指すKPIなどは存在しない、とは言い切りませんが、
そもそもパンフレットに効果を求め、B/Cなどを追求するなどは、あまりなかったことでしょう。
02. 昨今では効果追求が確実に増えている
パンフレットはWebのように数値やデータで、客観的、理論的な効果分析はできないものの、
明らかに定性的効果を求める機会は増えている実感があります。
営業活動に、採用活動に、また広報戦略に、
クライアント企業は筆者などのクリエイティブ業者へ、
導入目的だけでなく期待効果をRFP(Request for proposal)で求められる機会も多くなりつつあります。
それでは効果的なパンフレットとは?という当記事のテーマについて、
一体何が効果なのか?果たして効果の定義とは?ここで明快に●●だ!とは言い切れません。
パンフレットを導入する目的、どのような機会に使うのか?
これらによって求める効果が大きく異なるからです。
次の項目で、実例を挙げながら、目指す効果の違いを簡潔にご説明していきましょう!
2. 《事例で検証》目的や用途によって求める効果が異なる
細分化を細かくすると、膨大な領域区分となるため、
ここでは「営業・商談向け」「代理店向け」「採用向け」「広報・IR向け」に絞って語っていきます。
ではまず「営業・商談向け」です。
01. 「営業・商談向け」パンフレット
一言に営業・商談と言っても営業パーソンが介在するしない、
その内、営業パーソンが介在する場合、BtoBの法人向け、BtoCの個人向け、BtoGの官公庁・自治体向けなど。
さらに使用シーンはどうか?新規リード向け、既存顧客向け、展示会向け、
個人営業シーンでは、若年層向け、未婚女性向け、熟年層向け、富裕層向け等。
インサイドセールスでは、オンライン商談向け、DM用、資料請求向け等。
いやはや、一つひとつ言及していると途方に暮れます。
従ってここでは、法人・個人向け、展示会向け、資料請求向けをピックアップしてご紹介します。
その他業種別がありますが、これは次項にて。
法人・個人向け
営業パーソンが介在する一般的な営業活動でのパンフレットの期待効果。
言わずもがな、営業のフィニッシュとなる「受注」や、商談でユーザーの「意思決定に作用」させることが、最も大きな期待効果です。
当然そのために商談のプロセスを踏まえ、
営業パーソンをサポートするネタ、商談最終段階でユーザーの意思決定に作用するコンテンツ。
パンフレットには情報設計・要件定義の段階において、これらがきちんと備えておくことが要求されるのです。
海外知財訴訟費用保険に関するパンフレット。インフォグラフィックを多用し、わかりにくい保険商品を読み解き、営業パーソンのサポートツールとして、ユーザーの意思決定にお大きく採用する。
展示会向け
一転この展示会では、如何に来場者を瞬時に引きつけ、立ち話で一定の理解と共感を迅速に促せるか?
目指す効果は、その場での受注や意思決定への作用ではありません!次に繋がるプロセスを創出することと言えます。
つまり会場で初のコンタクトポイントをもったリードをしっかりをキャッチアップし、
次は初の商談機会を創出する。そのためには “Touch and Go” ほどの軽快さが要求されるのです。
製品やサービスが複数あれば、1品1品リーフレットに分離。少なくとも全商品総合カタログは避けたいものです。
無電解ニッケルメッキのパイオニアとして、業界内で確固たる地位を築いている同社の展示会向けパンフレット(リーフレット)。ミニマルな仕様にすることで、ブース内でまさに “Touch and Go” を可能とする、すばしっこさを徹底追求したのです。
資料請求向け
これはユーザーの関心度が比較的高く、能動的行為により資料を請求するため、
じっくり読み込ませることも重要な一方、実はここからが最も重要なミッションを帯びます。
請求し読み込むだけでは終わらない、ユーザーのネクストアクション!
つまりスマホやWebへの誘導や電話での問い合わせへ誘導。これらが期待効果なのです。
同社のWebサイトからの資料請求に応えるPPT版のパンフレット、それらを収納するフォルダ、それと封入送付する封筒のツール一式。
02. 「代理店向け」パンフレット
このパンフレットの対象は、メーカーの製品取扱い代理店、保険商品の代理店などです。
代理店はメーカーや保険会社に代わって営業活動を行うため、情報伝達が二次的になり、
営業ナレッジや商談の勘所がうまく伝承できず、提案内容や攻め方でレベルダウンが発生しやすいのです。
そのため、狙う代理店向けパンフレットの効果は、代理店でも劣化しない営業効果。
例えばメーカーや保険会社など、パンフレットの情報構成を提供社のトップセールスマンのトークスクリプト化する。
代理店の営業パーソンはパンフレットに沿って商談すると、提供社と同じ高いレベルの商談トークが叶い、
期待効果を発揮する可能性が広がります。
これまでの代理店ルートの販売は、それぞれ代理店裁量の営業方法。カタログリニューアルにおける同社のテーマは、商談の品質向上、ブランド統一を目指し制作。海外の代理店からも、商談がスムーズに進められていると、高い評価を受けている。
03. 「採用向け」パンフレット
企業の採用活動実態は益々逼迫度合いを高め、母集団が形成できない、内定しても辞退、入社後早期退職。。。
特に知名度の無い中堅・中小企業は、高難度な経営レベルの問題です。
過去のような、社風や先輩社員の仕事ぶりなどフワッとした採用パンフレットではNG!
つまりこれら採用イシューを乗り越え、企業説明会やインターンで求職者の企業理解を促進し、
狙った求職者の入社願望を得ることがパンフレットの期待効果。
しかしながら、厄介なのは大卒、高卒、中途、第二新卒など、また理系や文系、学校のランク。。。
それぞれにターゲットや求める効果のゴールが異なることです。
これらの件については、作品画像下のバナーから参考情報もご覧ください。
高校生に自社の強みをわかりやすく、且つ企業の魅力をオモシロ可笑しく伝える“漫画形式”の採用案内パンフレット。志望意欲の醸成大きく貢献する。
04. 「広報・IR向け」パンフレット
広報向けのパンフレットと言えば、
医療機関や病院で目にする疾病予防や新療法のパンフレット、高校・大学の学校パンフレット、
企業の周年記念パンフレット(記念誌)、社内報、事業案内パンフレットなど。
IR向けと言えば、サスティナビリティレポート、CSRレポート、環境ガイドなど。
PR・広報と言うだけに、何か即座に意思決定を促すとか、際どい商用ツールとしての効果はあまり期待されません。
飽くまでも、認知向上、宣伝、参考情報提供など、人々の意思や行動に間接的に作用させたり、
有益な情報として広く発信すること、
その結果社会・マーケットで情報が伝播されることで効果あった!と言えるでしょう。
サスティナビリティレポート(パンフレット)48ページ構成
3. 《事例で検証》業種によっても異なる効果
さて、目的・用途による効果の次は、業種による効果。
これも業種・業態によって群雄割拠するのです!そりゃあ、そうでしょう。
その区分たるや経産省の業種・業態区分を例にとると、枚挙に遑がありません!
ということで、ここでは製造業・建設業・ITシステム・商社に絞って、事例で効果を検証していきたいと思います。
01. 「製造業」のパンフレット
この製造業は先ほどの経産省分類でも数多くのありとあらゆる業態に分類されています。
そのため業態によって求める効果は千差万別。しかしながらこの業種全般の特徴として、
新規リード獲得によるBtoB取引を狙う効果、ほぼこの一択でしょう。
全製品のラインナップとなると総合カタログとして、その中から単品〜複数品目をピックアップしたのがパンフレットとなり、
やはり最大の活用シーンは顧客・ユーザーとの商談時が主です。
取扱い製品をピックアップしたパンフレット。最大の活用シーンは顧客・ユーザーとの商談。説明のしやすさを考慮し、会社紹介用の「フォルダ」と製品紹介用の「リーフレット」に分けた仕様。特にリーフレットは、デザインやコピー、写真配置などのフォーマットを統一することで、今後拡張性も考慮したスキーム。
02. 「建設業」のパンフレット
建設業においても業態が非常に多い業種です。
大手・中堅ゼネコン、総合建設業、住宅建築業、電設工事業、鳶・土工工事業。。。その他多数ありますが、
主に官公庁・自治体工事案件中心か、民間工事中心かによってパンフレットへの期待効果は異なります。
官公庁中心の建設業は企業の信頼性・資格与信が求める効果。会社案内パンフレットがその役目を担うでしょう。
また民間工事中心の建設業の場合、大手・中堅は不動産デベロッパー、中小は個人住宅。
いずれもパンフレットへ求める効果は、商談をサポートする情報、ネタ提供。
受注、もしくは購買につながるユーザーの意思に作用することが最も優先されるべき効果です。
鋼構造物工事業、とび・土工工事業の独立系中堅建設業。3DCGのパースデザインによる事業現場のシミュレーションをし、同社独自の事業モデルを追求した。
03. 「IT・システム」のパンフレット
業態別に大別すると、ソフトウェア、ハードウェア、
情報処理サービス(SIer)、インターネット・Web、通信インフラ。
パンフレットのコンテンツは開発システムやソフトウェア・アプリの情報、
ハードの製品情報、通信・ネットワークのサービス情報などに収斂されます。
そこでミッションとなるパンフレットの効果は、個人の場合、直接的な購買行動へと繋げること。
法人のBtoB取引では、受注へ向けた商談サポートが主体でしょう。
各種ソフトウェアの開発および管理を手掛ける企業。同社開発・運営を手掛ける眼鏡小売店向けレンズ受発注システムの案内パンフレット。きめ細かでメリハリの効いた情報・ビジュアル設計で、ターゲットユーザーのスピーディーな理解と強い関心を惹く。
04. 「商社」のパンフレット
商社の場合、大手総合商社とその関連子会社、中小の専門商社に分類されますが、
いずれも展示会や商談の場面において、直接的な受注に繋げる効果よりも、
大手はブランド力の信頼感醸成、中小はビジネスモデルや商品・サービスの価値や差別的優位性を効果に求めます。
商社の場合、自社開発商品を持たないこと、またビジネスモデルが勝負の分水嶺なため、
ブランディング、差別性・競争力を語り表現することがパンフレットの重要な存在感を示すのです。
同社VMIプロジェクトの海外展示会、商談用のパンフレット。国際調達システムの効率改善を図る商物一体の物流システムを紹介したパンフレット。
大手グローバル企業に相応しいダイナミックな写真素材を使用。まさに総合商社たる圧倒的なスケール感を演出している。
4. 《事例で検証》企業規模によっても異なる効果
中小企業、中堅企業、大企業に分けてそれぞれの効果に触れていきます。
実はよく語られる中小企業は大手企業のマネをしてはならない、中小企業らしく分相応のパンフレット。。。
との見解が巷に溢れていますが、筆者はそこにアンチテーゼを唱えます。
中小企業こそ、中堅企業こそ、市場で大手には無い独自の商品力、サービス力を発揮し、
ニッチ戦略市場のシェアを獲得することがレゾンデートル!ここは中小、中堅の大手には無いチカラを発揮する機会なのです。
大手は王道として、効果はブランド力のモデルを進むべきでしょう。
01. 「大手企業」のパンフレット
大企業、大手企業は全て王道を行くパンフレットの作り方、という単純な思考ではありません。
業種・業容、また事業領域によっては、大企業と言えども苦戦を強いられている、初めての市場開拓に乗り出す、
と言った場合は、大企業の優位性は限定的と言え、むしろ弱者戦略をとるパンフレットづくり。
しかしながら、業界でのブランド資産を最大限活かし、受注やユーザーの意思決定に貢献する効果を狙います。
02. 「中堅企業」のパンフレット
実は中堅企業の中でも、大企業に負けないシェアを持つ、業界知名度はむしろ大企業より上、
などという企業は枚挙に遑がありません。それだけに自社ブランドに磨きをかけること、
つまりパンフレットは強者の風格を持つ効果が適任でしょう。
一方で、トップランナーだが、複数企業が寡占状況を呈し、現在の牙城も決して安定的ではない中堅企業の場合、
鍔迫り合いに翻弄されると、無益な価格競争のスパイラルに陥るリスクを孕んでいます。
この場合も自社の優位性や独自性を強調する、マーケティング視点のブランド効果を追求するパンフレットです。
さらに競合に後塵を拝している中堅企業であれば、
それは後述する中小企業の弱者戦略をとるパンフレット効果を目指すのです。
03. 「中小企業」のパンフレット
中小企業と言っても、須く弱者と言うわけではありません。
ニッチ領域で世界に冠たる中小企業は、我が日本に数多(あまた)ある。
このタイプの中小企業は、前述の強い中堅企業のように、パンフレットはブランド力を一層磨く効果であるべきです。
しかしながら、一般の中小企業は徹底的に自社の強みのみならず、
業界上位の競合の弱点や比較情報など、チカラ強い主張や独自性を示すコンテンツで、
競合優位で営業や商談上で俎上に上がる効果のパンフレットであるべきと考えます。
あと書き
あまりにも効果の定義が千差万別なので、
一つひとつの要件を深入り解説すると、
それこそこの記事の3〜4倍の文章量になってしまうレベル。
一旦ここでは、パンフレットの効果はそう単純なものでは無いのだ!
ということがわかったと思います。
やはりこれからのパンフレットづくり、
たかがパンフレット、されどパンフレットなのです!
つくる目的、狙う効果!までしっかり見極め、
つくり上げたいものです。
じゃあ、効果に寄与するパンフレットをどうつくるんだ?
というお声に弊社のクリエイターは果敢に挑みます!
その際はお声がけください。必ずいい仕事します!
<執筆・編集|メーソン>