ぱんふ創りアレコレ-20

見やすいパンフレットのデザインと構成【作成前の要点チェック】

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見やすいパンフレットと言っても、
巷では一般論に終始した十把一絡げの論調が殆ど。
筆者はそこにアンチテーゼを唱えます。

実はパンフレットを利用するユーザー・対象者は千差万別。
老若男女、知識レベル、多様な業界、利用目的など、
それぞれで見やすい基準は大きく異なるのです。

社内で「見やすいパンフレットをつくろう!」と決まったら、
着手前にこの記事をチェックネタとしてご活用ください。


この記事では、専門的なDTP(デスク・トップ・パブリッシング)のセオリーに基づく見やすさを追求するというより、
DTPの要件を踏まえつつも、目的や趣旨に適い、TPOに相応しいことが見やすいパンフレットの原点と捉え、
そこを掘り下げて語っていきます。

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1. 「見やすい」は複数の要素が含まれる

01. パンフレットの見やすさは様々あることを知ろう!

「見やすい」が持つ要素。実は「見やすい」には、そこに様々な要素が包含されており、
それを一括りに「見やすい」という言葉で表していると言えます。
例えば「見やすい」には、読みやすい、理解しやすい、情報を入手しやすい、○○に優しい、
一歩進んで安心感や使い勝手がいい。。。などが含まれているのです。

確かに、とは思いつつ、初っ端しょっぱなからめんど臭いことを言ってるなァ〜、
見やすいパンフレットに何の関係があるのだ?
と仰せの向きもあると思いますが、
実は見やすいパンフレットの本質として、重要なポイントが潜んでいるのですゾ。

02. 見やすいパンフレットは実務的で機能性が大事だ!

パンフレットのテーマや情報ソースとして、
ある特定のジャンルや一定の領域に絞られることが、その特徴と言えます。
より実務的で専門的な要件を取り上げ、知識や情報を提供すると同時に、
ユーザーの意思決定にもダイレクトに作用させる機能性を持ち合わせることが大事で、
アクティブでインタラクティブな側面があるのです。
実は見やすいパンフレットの要件には、この実務性や機能性がとても大事なポイントを成し、
次項で例証してみます。

余談ですが、このパンフレットと「会社案内」とは似て非なるものです。
ダイレクトにユーザーの意思を求めることが比較的薄い会社案内とはその性質を異にします。

パンフレット作品群
様々なパンフレットの表紙群です。製品パンフレットあり、採用パンフレットあり、CSRパンフレットあり。。。
いずれも表紙で何を目的とするものか?どのようなTPOで使用するのか?が明確です。
キャッチコピーやイメージ写真なども明確な存在メッセージとなっています。
ここが会社案内とは大きく異なる点でしょう。

2. “総花的”な見やすいパンフレットではダメ!

01. 見やすさはターゲットに直結

前項1の列挙の中で、例えば「○○に優しい」の○○に入った要件が、
どのようなケースのパンフレットに求められるのか?例証してみます。

ケース
見合ったパンフレットの種類
遠視や近視症状がある人に優しい 眼科パンフレット、眼鏡店パンフレットなど
目の衰えた年配者に優しい 高齢者向きサービス・商品パンフレット
漢字が読めない若年層に優しい 子供向け商品パンフレット、小中生向け塾の漢字ルビ入りパンフレット
専門用語がわからない一般見学の人々に優しい 咀嚼された工場見学パンフレット
視覚障害者に優しい 点字パンフレット
外国人に優しい 日本語・英語併記パンフレット

等々。
様々な対象者に優しい=見やすい、様々な用途・業種のパンフレットでした。

02. 総花はダメ!配布先・対象者によって「見やすさ」が異なる

前項の列挙でわかるように、対象者が異なるとパンフレットも様々なのです。
つまり、「見やすい」の定義は作るパンフレットの目的・用途、また対象者によって、
項目01のように大きく見やすいパンフレットの定義が異なるため、
単に見やすいパンフレットを総花的に語っても無意味であることをご理解いただけたでしょう。

3. 見やすいパンフレットをもう少し深掘りする

01. 実際の紙面をモノ・コトで見やすさを取り上げる

「見やすいパンフレット」は様々な意味が含まれており、
パンフレットの特性として実務性や機能性が大事であること。
従って単純に総花的に見やすいを語ってもダメだ、ということがザックリ分かったと思います。

それらを踏まえ、実際のパンフレットの紙面を取り上げ、
【表紙・見開き】、【レイアウト】、【表現・スペック】、【記事・情報構成】に仕分けして列記してみます。

表紙・見開き

  • 何を目的とするか、表紙のタイトルやコピーが明瞭で直感性を高くする
  • 対象ユーザーの心地良さ、好感度を持たれる表紙デザイン
  • 最初の見開きでパンフレットの全体像を俯瞰的に伝えている
  • ページ数が多い場合、目次を設けスピーディな導線を確保する

レイアウト

  • コンテンツが大項目・中項目・小項目にきちんと整理されている
  • スクエアなグリッドレイアウトで、Z法則に基づき自然でストレス無く読んでいける

表現・スペック

  • 文字情報に合わせ、写真やグラフ、フローチャート、表組みなど多彩な表現方法
  • 読み手の年齢層を考慮したフォント選びやサイズ設定
  • 可読性を高めるため、印刷インキの発色が良い用紙選び
  • 見るユーザーの属性による色使いやデザイン性が考慮されている
  • 近視・遠視など視力に何らか症状が対象の場合、可読性、文字サイズ、色遣いの考慮

記事・情報構成

  • 主婦層や若い女性が対象、全体的に日常のフランクな会話調で語られている
  • 専門性高い領域で専門職が対象のため、敢えて専門用語を咀嚼せず、表現のプロトコルを合わせている
  • 本を読まないZ世代向けに文字数を少なく、写真やイラストなどビジュアル度を高めている
  • 同じくZ世代の見やすさから、スマホやWeb的デザインやQRコードを表示させている

見やすさを切り口にすると、結構色々あるんですネェ〜。
その他まだまだありますが、この辺に留めておきましょう。
以下のレイアウト図では、DTP要素を踏まえつつ、見やすいパンフレットの構成をシミュレーションしてみました。

 

パンフレットのレイアウトサンプル

見やすいパンフレットのレイアウトサンプル

【左】グリッドデザインをベースに、情報をゾーニングし、整列・反復でスクエアにまとめた。
【中】版面率を下げて情報量を絞り込み、センターに象徴的に棒グラフをレイアウト。
【右】数値(80%)を強く印象付けるため、サイズを大きくしジャンプ率を高めた。

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02. 専門職・エンジニア同士の場合は咀嚼無用

前項の情報構成の中で少し水を刺すことにもなりますが、
一般的に “専門用語や業界用語を使用しないことが、見やすいパンフレットの基本!”とよく言われていますが、
豈図あにはからんや!
実は専門職やエンジニアの方々は共通言語で専門用語、専門情報の方が、
むしろ見やすさ、理解促進、安心感さえも漂う
のです。
変に咀嚼すると、かえって逆効果となってしまうケースは珍しく無いのです。
この辺がなかなか悩ましいところ。
つくり手も制作を依頼する側もご留意あれ。

4. 目的や用途別で見やすいパンフレット

では次にビジネス上で使うパンフレットとして、最も大きなミッションとなる具体的な目的と用途を掲げ、
その上で見やすいパンフレットを明確にしてみましょう。

しかしながら見やすいパンフレットを目的・用途で語り出すと、際限なく深入りしてしまうため、
ここでは、目的を効果的に達成すること、用途に最適化することなどのワンポイントに徹します。

01. 営業【BtoB】目的

表紙イメージの直感力強化

BtoB営業パンフレットは主に商品(製品)やサービスのセールス情報が主となります。
その見やすさとして、何と言ってもパンフレットの顔と言える表紙で、
相手ユーザー、リード(見込み客)へのアピール度を高めるためにも、
製品・サービス名と共に、それらで何をソリューションするのか?
どんな課題に効果があるのか?
その結果、売上・収益性向上や効率化・省力化、コストダウンの実現性等々。。。
これらを巧みに刺さるコピーやデザインで表現すること、
まずは表紙にて対象者のインタレストに直感でリーチします。

商談プロセスをコンテンツ設計に

パンフレットのコンテンツとなる情報設計・記事構成ですが、
その見やすさのワンポイント!
それはパンフレットに盛り込みたい情報、という概念ではなく、
実際の商談プロセスを整理し、クロージングまでを順を追ってシミュレーションし、
その順序で情報を構成すること
です。
特にトップセールスマンの商談プロセスを言語化して、より実務的に、
より機能的に構成することは、営業・商談の実態に即し、非常に合理性が高いと言えます。
意外と一般では語られていない、プロフェッショナル度の高い、
見やすく、わかりやすいパンフレット構成の一つと言えるでしょう。

|割り込みネタ|営業パーソン自身にも見やすさのデュアル効果?

余談ですが、営業パーソンの商談トークやクロージングまでの商談プロセスをパンフレットのコンテンツ化することは、パンフレット閲覧者の見やすさ、理解しやすさに繋がるだけでなく、実は当の営業パーソンにおいても見やすさと共に、営業ツールとしての使いやすさも実現できるという、デュアルユースな優れモノとなるのです。

02. 採用目的

やはりビジュアル化することがZ世代の見やすさ

20代のZゼネレーション、20〜30代のキャリア求職者、
いずれも一般論としてスマホやPC依存型で、本を読まない世代です。
このようなターゲットの採用は、社風、企業イメージの好感度を上げる手段として、
写真、イラスト、グラフ、チャート図を多用し、視覚化することは、
企業理解を促し、見やすい、わかりやすい採用パンフレットとなります。

中でも学生や求職者の関心が高いキャリアアッププランは、
イラストやチャート図を使って見やすくしておけば、求職者の共感を得られやすくなります。

高卒採用には本人・教員・両親の “三方善し” で

高卒生には高校生本人へ咀嚼した記事構成すると共に、
高校の担当教員、両親向けメッセージとして、情報・記事を設けることを筆者は提唱しています。
それは高校生の就活は本人もさることながら、
むしろ高校の担当教員や両親の関与が強く、その両者を視野に置いた見やすさが求められるのです。

つまり高卒向け採用パンフレットは大卒・一般求職者向けとは区別し、
高校生本人・教員・両親の異なる立場の三者を見据え、
記事・情報構成するパンフレットづくりが、見やすいポイントでしょう。

一歩進んで理解しやすいネタ

冒頭でも触れましたが、見やすさは理解しやすさも含むということ。
つまり、学生・求職者が企業理解を促すという側面からすると、
学生の就職先企業の選定要件に依拠すべきということです。

  • 企業の将来性
  • 事業の社会貢献性
  • 仕事のやりがい

実はこれらは学生へのアンケートから得られた統計で、
給与が高い、知名度が高い、福利厚生が充実している。。。などが上位にひしめいている中、
何と!強豪項目をかき分けて上位10位以内に入った項目です。
昨今の学生の入社希望企業の選定要件なのです。

つまり就活学生のナマの声なので、この情報を取り上げない手はない!
企業をよく伝える、わかりやすい、見やすいパンフレット、ということになるのです。

03. 広報・多目的

では広報目的や多目的なパンフレットの見やすさとは何でしょうか?
上記営業や採用とは異なり、見てもらいたい、またパンフレットを渡したい対象者が特定されません。
つまりターゲットが不特定となるのです。

この場合、オールマイティさ、最大公約数的な要件を満たしている、という意味では、
何かに特化することなく、対象者をセグメントすることなく、
万人受けすることが好ましいことが求められます。

東西南北、老若男女を問わないボーダレス、ダイバーシティさが必要なのかも知れません。
そういう意味では、
前述の項目「3. 見やすいパンフレットをもう少し深掘りする」、
「01. 見やすさの象徴」に掲載している項目が強く求められるのでしょう。

あと書き

見やすいパンフレットの「見やすい」には、
色々とその意味するところがあり、包含されていることがわかったと思います。
このように、パンフレットに見やすさを追求することは、
実は取扱い製品やサービス、
また提供企業のブランディングにも直結するものと言って過言は無いと言えるのです。

豊富な実務経験をもってして語る筆者の発言は、
別に権威を標榜しているわけではありませんが、一味違うのではと自負します。

ついては社内で、見やすいパンフレットを作成しよう!
と話が持ち上がったら、事前チェック、情報収集ネタとして活用してください。

筆者の所属クリエイティブ会社でも、
お客様からのご相談には、インサイトを追求する謙虚な姿勢で、
また見やすいパンフレットとは?という視点でお話を承ります。

執筆・編集|メーソン

 



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