BtoBのカタログはかくあるべし! 営業と発注促進の要
MENU
BtoB向けのカタログ、そのほとんどが、
営業パーソンが営業活動で活用するもの、
と思われていますが、
実は多様なチャンネルで活かされている。
それは営業活動に加え、
販売促進、発注促進、リード集客、展示会に、
BtoB取引のマルチな場面で活躍しており、
カタログの持つ汎用性と存在感の大きさが窺えるものです。
そのBtoB取引で活かすカタログを、
プロ独自の視点で語ってみます。
1. カタログはBtoB取引の原点となる媒体
BtoB取引の際に使用するカタログ、似て非なる媒体にパンフレットがあります。
製品やサービスのパンフレットは、
単品、或いはカテゴリー内の数品程度の範囲を対象とした媒体です。
つまり絞り込まれた製品をより深く広いレベルの情報で構成されている媒体。
それに対しカタログは、総合カタログや製品カタログと言われるように、
企業取扱い製品を全て網羅した媒体です。
1品1品、製品ごとの情報量は限定されますが、BtoB企業が取扱う全製品一覧ですので、
「企業カタログ」とか「会社カタログ」とも言われる所以です。
つまりカタログは、企業間取引、BtoB取引の原点となる媒体である、ということが言えるでしょう。
- ちょっと蘊蓄|製品・商品・サービスを定義しておく
- ここでこの製品・商品・サービスの3要素を簡単に定義しておきます。
製品:作ることに主眼を置いた物の呼び名。主に製造業において、生産された製造物が流通に乗るまでを指すことが多い。
商品:売ることに主眼を置いた物の呼び名。元は製品であっても、流通・商流に乗った時点で製品から商品へ、また消費者・購買者サイドから捉えると商品になる。
サービス:製品・商品のモノと捉えるとサービスはコト。提供・売買の対象がモノ以外の無形の役務やシステムなどを指す。
ということで、一般的な定義をしましたが、この製品と商品、市場ではそれらをきちんと使い分けをしている、というよりは、むしろ曖昧なのが実情と言えます。またサービスにおいても、業界や企業によっては、「商品」と言っている場合もあり、その辺の明確な使い分けに強いこだわりがあって無いのが実情のようです。
当記事では、製品・商品・サービスを総称して「製品」という表現に集約させていただくこととします。
2. カタログが戦力となるBtoB現場とは?
ではBtoB取引で戦力として活躍できるのは、どういう場面でしょう?
それはほぼ以下の5つのチャンネルに大別されるでしょう。
- 営業パーソンの必携
- 顧客設置型
- Webダウンロード
- 展示会・イベント
- Webカタログ・電子カタログ
- DM用
どの場面もカタログが大いに戦力化され、
BtoB取引の媒介をなすツールとしてその威力を振るえるビジネスシーンです。
では次項から、その一つひとつのカタログ活用シーンについて、
カタログがどのような目的で使われるのか?
それがどのような内容や仕様であるべきか?
どういう使い方がいいのか?
掘り下げて語っていきます。
3. 営業パーソン必携のカタログ
01. 重厚な存在感を持つベーシックツール
業種や営業スタイル、また取扱い製品によって、カタログの存在感や使用方法が異なると思いますが、
いずれにしても営業パーソンが直接戦力とするカタログは、
最もベーシックなカタログの存在と言えるでしょう。
数百、数千点の多数品種を掲載するカタログ、
製品情報〜サプライ品、活用提案、事例等まで網羅させ、
製品だけでなく取引後のメンテナンスや活用方法にまで及ぶマルチタスクなカタログ、
まさに営業パーソン必携ツールたる所以です。
02. 新規営業では戦略・戦術で使い分けで
新規取引の商談やプレゼンでは戦略を担う総合カタログと共に、
商談の具体的戦術となる製品カタログとの棲み分けが、非常に機能的です。
もちろん営業パーソンによっては、個別資料やピッチ資料で細部をカバーするでしょう。
つまり総合カタログで営業パーソンが所属する企業の全製品ラインナップや総合力を知らしめ、
商談に直接攻め込む役割が製品カタログといった関係性です。
この製品カタログとは品種やカテゴリーのカタログ、
或いは単品カタログ(製品パンフレット)とお考えください。
めでたく!受注後は、顧客となり営業パーソンは固定客営業の活動となり、
カタログの存在は「顧客の必携ツール」へと転換されるのです。
ん?「顧客の必携ツール」? そのココロを次項で説明します。
4. 顧客設置型のカタログ
01. 顧客必携ツールのカタログとは?
前項に続き、なぜ顧客必携のツールなのか?
ここでイメージしやすくするため、そのカタログの要件を定義してみます。
「年度版で数百点の製品点数が、複数カテゴリーで掲載され、
サプライ品やメンテナンス情報までが網羅された総合カタログ」といった位置付けです。
さらにその顧客となる業種や業態は?
例えば、総合建築業、半導体製造業、自動車関連メーカー、
またオフィス用品、ホームセンターや家電量販店なども。
いかがでしょう?
まさにBtoBの顧客必携ツール、しかも顧客設置型カタログと言えないでしょうか?
新規営業時点から顧客定着後を見据えた、言うなれば“理想的なカタログ”とでも言えるでしょう。
02. 顧客定着を維持する“常駐派遣員”
顧客担当者のデスク上に常備されている、
様々な製品カタログがズラっと並ぶ本棚に配置されている、
といったシチュエーションです。
必要に応じて、カタログを検索し、別製品を担当営業パーソンに見積依頼する、
カタログ掲載のサプライ品をオーダーする。
このように都度カタログを参照し、顧客がアクションを起こすツールと言え、
顧客との関係性をリテンションさせるための決め手と言えるでしょう。
言い方を替えると、企業側から顧客先へ派遣員として常駐し、
顧客と営業パーソンの仲を取り持つ、優れもののコミュニケーターです。
逆に言うと、このような存在を想定し、役割を果たすカタログづくりをすべきでしょう。
03. BtoBカタログは【販売促進・発注促進】が重ミッション
これら「顧客必携」また「常駐派遣員」というのは、
言うなれば企業サイドからすると、
顧客能動による「販売促進」や「発注促進」を実現していくものです。
実はこのような設置型カタログの機能は、
他の媒体ではなし得ない、カタログという媒体の固有の特徴だと言えるものであり、
カタログに課せられた最も重要なミッションです。
しかしながら、これらカタログの優れた点と言えども、
制作時点できちんと発注促進・販売促進というBtoB要件を織り込んだ、
情報構成、導線設計、ビジュアル設計、仕様スペックに至るまで、
しっかり練りに練ることが必要でしょうね。
5. Webダウンロード向けカタログ
01. ダウンロード専用か?印刷・ダウンロード併用か?
まずダウンロード(DL)用のデータ形式は、「PDF」を使用するのがごく一般的です。
その上で、WebからDLするカタログのあり方には二通りの方法が存在します。
一つは印刷して製本されたカタログの印刷データをPDF化し、DL用にWebへ仕込むもの。
もう一つは当初よりWebのDL用に制作しておき、同じくWebへ装備する。
前者はDL用も想定はするものの、そもそも印刷・製本するカタログのため、
製本を前提としたページネーションなので、製品やカテゴリー別にPDFデータを分割した際、
それぞれのデータに、提供サイドの企業情報や問合せ先が記載できないデメリットがあります。
もちろん後付けはできるものの、手間のかかる作業になります。
後者は元よりDL専用ですので、データの作り方は、製品別、カテゴリー別で、
テンプレート化で制作しておけば、製品タイトルのデザインや企業情報、問合せ先が共通化され、
どのデータをDLしても完結型カタログとして、見栄えもいいし、DLユーザーは重宝します。
02. DL専用でも総合カタログにできる?
ところがこのDL専用カタログ、
もし営業パーソンの営業活動向けにも活かしたいということであれば、
実はこれが可能なんです。
分割されたカタログをひとまとめにするフォルダーを準備すると、
総合カタログに早変わり!意外と使い勝手がいいのです。
さらに仕様が改訂された製品のカタログのみ差し替えれば良いので、
コストダウンと手間の省力化にもなります。検討に値しそうですね。
03. リード獲得目的のMAやマーケティングネタとして
BtoB戦略的にリード(見込み客)獲得を目指す場合、
このDLカタログをWebへの仕込みネタに使うと効果的です。
MAツール(マーケティング・オートメーション)の活用を起点として、
当該WebからカタログをDLしたリードのトラッキングデータから、次のアクションへの足掛かりにするとか、
リードナーチャリング(見込み客の確度向上策)で様々なアプローチを仕掛ける等々、
WebでユーザーにカタログをDLさせることは、
マーケティング施策の戦術として新規リード獲得の大きな可能性を持つモノです。
この策はぜひオススメです。
6. Webカタログ・電子カタログ
一般的に「e-カタログ」とか「電子カタログ」と呼ばれているデジタル形式のカタログです。
その特徴を端的に言うと、デジタルで“ページめくり”ができるインターフェース(UI)です。
Webで公開されているページの端をクリックすると、
あたかもページをめくるような「シュッ」という電子音がなるアレです。
皆さんも動作経験があると思います。
昨今では一時期ほどではありませんが、まだ大手企業でもコーポレートサイトの製品情報に、
このページめくりを利用し、
いわゆる電子カタログ、もしくはWebカタログとして、カタログ展開しています。
紙媒体カタログのような操作性で、
検索ができ、ブックマークができ、付箋が貼れ、部分的プリントアウトも可能という、
アナログ的デジタルカタログですね。
BtoBのカタログとして、検討の余地は十分あると思います。
7. 展示会・イベント向けカタログ
製造業やIT企業をはじめ、システム系、ゲーム系、ロジスティクス、スタートアップ・ベンチャー等々、
今や展示会・見本市イベントは日本全国各地で、さらに世界中で花盛り。
まさにBtoB取引のビジネスチャンスは、
ドメスティック、ワールドワイドで益々増加の一途を辿っています。
これらに出展する企業は、新たなBtoB取引を画策し臨むものですが、
ここで強〜い味方となるのが、言わずもがなこのカタログです。
総合カタログや製品群・製品カタログが、その重責を担います。
8. DM用カタログ
カタログをメインにDMを打つのは、なかなかシンドイものです。
それはカタログ制作とDMに同封する各種のツール類制作、
そして封入・発送作業、これはどんなDMの専門会社でもアウトソーシングが標準です。
さらにそのターゲットとなる名簿情報です。
自社で管理している顧客名簿から発信するDMであればそのコストは0ですが、
外部専門業者から見込み、或いは有力名簿を購入する場合は、
そこに上乗せのコストが発生します。
つまりこのDM、なかなかのエクスペンシブな施策なのです。
しかしながら業種や製品・サービスによっては、非常に成果につながる施策。
このDX時代においても、コストエクスペンシブな状況を押しても、
なかなかどうして、侮れないBtoBカタログの施策なのです。
業種によって、製品やサービスによって、或いは企業の戦略によっては、
DMカタログの価値は依然高い存在感を示しているようです。
9. あと書き
BtoB取引を担うカタログ。
この記事を執筆していくにつれて、
それは企業の営業活動の原点のような存在ということに気付かされました。
それだけにカタログが企業の収益に影響し、業績にも直結する、
といっても大袈裟ではないでしょう。
このカタログの他の媒体にはない存在が、
「顧客設置型」ということをご理解いただけたと思いますが、
その中で例えば!
“競合5社のカタログが居並び、
本棚で鍔迫り合い(つばぜりあい)を繰り広げる”
といったシチュエーションを想定してみてください。
その渦中においていかに勝ち抜くのか?
他社を蹴落とし、出し抜き、発注担当者に選ばれるのか?
皆さん!こんなカタログの戦いを想像したことがあるでしょうか?
企業のカタログ制作の担当者さん、
営業パーソンの方々。
御社のカタログは顧客先において、
このような孤軍奮闘を日夜繰り広げているのですよ。
ぜひともこんなカタログの活躍シーンを想定して、
御社のカタログづくりを見直してみることをお勧めします。
見直してみる際は、喜んで弊社でもお手伝いします!
執筆・編集|メーソン